(冒頭部分)
空が二つに割れたような恐ろしい爆音は、五分近くもの間サラ達を揺さぶり続けた。
同時にまるでシェイカーの中に入れられたように激しい震動が襲う。ヘリウッドは今、翼を怪我した鳥のように滑空しながら墜落しているに違いなかった。
助かるかどうか分からない。サラは歯を食いしばり、薄く目を開けてがくがくと揺れる視界を見渡した。子どもたちはサラの指示通り、必死に歯を食いしばりながら自分の耳を押さえつけている。気丈にも、誰一人鳴き声を上げようとはしない。全身で彼らは生きようとしている。何人かの姿がそこからは見えないが、きっとすぐ側にいる。そうに違いない。この揺れだってすぐに収まる。大丈夫だ。
サラはパニックになりそうな自分を叱咤しながら、子どもたちに回した手にぐっと力を込めた。剥き出しになった耳殻から痛いほどの轟音が流れ込み、サラの鼓膜を殴りつけた。しかし抱きしめずにはいられなかった。
それは彼らを勇気づけると共に、自分の恐怖を紛らす行為でもあった。繋がっている部分から、じんわりと湿った温かさがサラの体に流れ込んできた。震えている。泣きたいほどの愛おしさがサラを揺さぶった。そのままサラと子どもたちは、マットレスにくるまったまま怯えたヤマネのように丸くなり、震動が収まるのをひたすらに待った。
(真ん中の部分)
「…あの人達も一緒に暮らすのかしら」
「私は嫌だわ。何を考えてるか分かったものじゃない」
「武器になるものは全部取り上げて、ヘリウッドの中にしまってあるんでしょう?」
「だけど怖いじゃない。あの軍服を見るだけでぞっとするわ。そのうち集団で襲いかかってくるかも知れない……」
女達は眉根を寄せながらひそひそと話している。サラは足を速めて彼女たちから少し離れた。
ヘリウッドの兵達は、昨日一カ所に集められ、交代で見張られながら眠りについたと聞いた。未だザリバースの人々の間では、彼らへの猜疑心が消えることがないようだった。
あまりに多くの出来事が一度に起こったせいで時間感覚が麻痺しているが、村での虐殺が起こってからまだ丸一日ほどしか経過していないのだ。無理もなかった。
今ヘリウッドの兵達は銃器を取り上げられ、労働力としてザリバースの村民と同じように働いている。唯一銃器を携帯しているのはザリバースの男達だ。兵達が妙な動きをしないように脅しの意味を込めて掲げているだけだったが、銃があるというそれだけでサラの気持ちは落ち着かなかった。
ヘリウッドの兵達は皆どこかおどおどしている。今にも自分たちがしたのと同じようにザリバースの人間になぶり殺されるかも知れない、と怯えているのが明白だった。