郷愁−Nostalgia− 〈Epilogue〉
「起床時間だ!起きろ!!」
射るような声とともに、敷き布団を引き抜かれる。
顎をコンクリートの寝台に打ち付け、タブールはぐえっと蛙のつぶれたような声を出した。
下の方から、無数の笑い声が起きる。
慌てて身を起こすと、目の前に厳しい表情のナブカがいた。
すでに軍服を纏い、はしご段の中腹に立って、先程まで自分が寝ていた布団を手にこちらをにらんでいる。
「もう5分も過ぎてる。手間をかけさせるな」
「あ」
その顔に、声に、瞬時に昨夜の出来事が蘇る。
タブールは少し赤面したが、ナブカはまったくいつもと変わらぬ表情でさっさとはしご段を降り、下で笑っていたブゥの隣に降りたった。
「早朝訓練に行くぞ。遅れないよう、みんな早くしろ」
張りのある声でそれだけ言い残すと、ナブカは部屋を出ていく。
ブゥがそのあとを、小走りに追っていった。「おっさきに!」といいながら。
「タブールいくら叩いても全然起きねぇんだもん。早くしろよ」
下で笑いながら事の成り行きを見ていた少年が、放心状態のタブールをせかす。
「あ、ああ」
慌てて軍服の上着を纏いながら、タブールは気づく。
昨日までの苛々も、不安感も消えていた。
ただ、喉元までせり上がる妙な高揚感を残して。
「あーおもしろかった。ねぇ、ナブカ」
ブゥは先程のことがよほどおもしろかったらしく、まだくすくすと笑いながらナブカの隣を歩く。
「ああ、そうだな」
とナブカは相づちをうつ。
いつもと変わらない、少し厳しい表情のまま。
それでも、昨日までと違う何かを感じ取って、ブゥはきょとんとなる。
そして、さっきよりもにっこりと笑った。
「ナブカ、今日機嫌いいの?」
そう言った。
「さぁ。どうかな」
いつもの調子でそう返して、ナブカは歩調を早める。
ブゥも慌てて追いかける。
ブゥは気づかなかった。
ナブカの口元が、うっすらと笑いの形を作る。
もう、大丈夫だ
〈終〉
はい、おしまいです。
ここでは、開放感を味わってください(強制)。
魔性の少年ナブカ。そんなつもりじゃなかったけどそんな感じになってしまった。
MY考察の中に、この話のこと書いてあるので、そっちも見ていただけると嬉しいです♪
サイト開設一本目の小説ですので、初めはもっとほのぼのした感じのお話を載せたかったのですが、ホモボモした感じになってしまいました。
この二人の関係、初めが一番ハードだと思うので、恥を忍んで載せました。
何事にも順序は大切です。(?)
じゃ、みんな最後まで見てくれてありがとう。また来てね〜〜(教育番組調)。